雪の日に祝福を…。
◇1◇ 手記
世の中は、全く不公平で出来ているモノだ。
私の世界も多分に漏れず不公平で不平等の世界だ。
幼い頃から両親の関心は、妹にあった。初めは、気にもとめていなかった。
《 《
「あぁ~!」
「瑠々。」
「どうしたの?」
「ああ、月依。タクシーを呼んでちょうだい。」
駆けつけると母親が妹を抱いていた。
「また、熱?」
「ええ、凄く高いの。早く病院に連れて行かなくちゃ。」
「解った。今、電話する。」
すぐに手慣れた手付きで番号を押して自宅前にいつものタクシーを呼んだ。
「お父さんにも電話しておいて。」
病院へ行く準備をしながら次の指令が下る。苦しそうにしている妹を見下ろしながら返事をして父親のスマホに連絡を入れる。
「留守電でもいいからいつもの病院に行くって入れておいて。」
「うん。」
言われた通りに父親に電話する。
「もしもし?」
「あぁ、お父さん。月依だけど・・・。」
「どうした?お父さんこれから次の商談に行かないといけないんだ。」
「忙しいのにごめんなさい。」
「急用かい?」
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