雪の日に祝福を…。
  
 

 私の世界は、不平等で回っていてもほんの少しの優しさがあったこと。
 それは、愛する人が居るという倖せ。

 愛がちゃんと私の中にはあったこと。
 だから、いまはその想い出だけで歩けるんだろう。


 《 《


「月依さん、見て!!」


 絵画コンクールの発表会に着ていくタキシードとドレス選びに来ていた。


「ふふ、似合うね。」


「本当?」


「うん。
(ちょっと、七五三っぽいけど・・・。)



「月依さんは?」


 試着用のスペースから顔しか出していない彼女の姿が気になる。


「見せて。」


「お客様、心の準備はいいですか?」


 何故かショップの店員たちがニヤニヤしていた。


「どう?」


「っ!!」


 出てきた姿を見て言葉を失った。


「燵夜くん?」


「うん、綺麗だよ。」


 泣きそうになるのを堪える。


「あんまり見ないで恥ずかしいから。」


「大丈夫、綺麗だよ。」


 2人の姿を店員たちは微笑ましく見守っていた。


 》 》


 届かないことに慣れてしまった。
 いまでは、手を伸ばそうとさえ思わない。


   
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