雪の日に祝福を…。
  


 》 》


 思えば何もかもが順調すぎた。
 彼のお父さんの介入が少なすぎた。しつこくやって来たのに私が断ってから1度も圧力が掛からなかった。

 気が付くべきだった。
 彼が苦しんでいたことを。

 私は、見て見ぬふりをしていたんだろうか。


 《 《


 病院に着くと看護師自ら出迎えてくれた。


「どうぞ。」


 診察室を過ぎ少し奥にある〝応接室〟と書かれた部屋に通された。


「若狭さん。先日検査結果が出ました。」


「はい。」


「現在頭痛は、どうですか?」


「たまにあります。」


「鈍痛ですか?」


「はい、どちらかと言えば。」


「そうですか。市販薬で治まりますか?」


「効かない時もありますけど耐性が付いたんだと思います。」


「意識を失いそうになるときはありますか?」


「たまに頭痛が酷くて。薬が効かないと立てなくもなります。でもデスクワークが多いので苦にはなりませんけど。」


「薬が効かないときはどうしていますか?」


「2時間経ったらまた市販薬を飲んでしまいます。仕事にならないので。」


「その頭痛は、最近ですか?」


  
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