雪の日に祝福を…。
  


「間髪入れずに、来たわね。」


「月依、さん・・・」


「久しぶりね、千明くん。」


 にっこりと笑顔を向ける。


「月依。〝何〟したんだ?」


「・・・・・・全く。奥さんと子どもが今日退院でしょう?」


「・・・なんで知って。」


「あのね、私は・・・ずっと独りなの。」

       ダル
 声を出すのも怠 くなって来た。


「月依さん・・・・・・」


「もう、なんて顔してるの・・・。」


 視線を向けると逢いたかった青年が目の前に居た。薄れる意識下の中で彼が光って見える。


「月依さん・・・なんで・・・・・・。」


「フフ。〝なんで、話してくれなっかった〟って言いたそうね。」


 心を読まれて青年は、一瞬目をそらした。


「あなたに言ってどうなったの?あなたは、私に〝画家にはならない〟って宣言までして別れを告げたわ。」


 意識を集中してきちんと言葉を紡ぐ。


「月依、いつまで意地を張ってるんだ。」


「私から〝意地〟を取ったらいったい、〝何が〟残るの・・・。こんな私になったのは・・・あなたの所為でもあるのよ。」


 必死に自分を現世に留め置こうとする男を見つめる。


  
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