雪の日に祝福を…。
「寒っ・・・。」
外は、冷気に包まれていた。チラチラと粉雪も舞っていた。
「月依。」
「お母さん。着替えさせてコート着せたよ。」
「偉いわ。お母さん遅くなるもしれなから鍵かけて火の元に気をつけてお留守番して。」
「解った。」
「じゃあね。」
タクシーが角を曲がって見えなくなるまで手を振った。
「あら、月依ちゃん。外寒いわよ。」
お隣のおばさんが心配してくれる。
「瑠々が病院に行ったから見送ってただけ。もう中に入る。」
「そうなの。可哀想にね、月依ちゃん。」
「なんで?」
哀れみを向けるおばさんに不思議そうに返す。
「なんでって・・・今日お誕生日だったでしょう?」
他人に知らされ初めて今日が何の日かを思い出した。
「おばさんすごいね。よく隣の家の子の誕生日なんて覚えてたね。」
無邪気に笑い心底驚いた態度をとる。
「お父さんは早く帰れるの?」
「もう、心配しないで。1人でお留守番くらい出来るから。」
おばさんが詳しく突っ込んで来る前にさっさと家に入ってしまう。
「大丈夫。瑠々は、病気なんだから。」