雪の日に祝福を…。
  


「なんでそんなに降るのよ!雪の馬鹿やろぅー!!」


 シラフで叫んでいるのは、オカシイ人だ。しかし叫ばずにはいられなかった。


「あの・・・大丈夫ですか?」


「へ?」


 まさかの展開に驚きアホな声が漏れる。


「具合・・・悪いんですか?」


 続けざまに掛けられた言葉は、〝オカシイ人〟に掛けられるような冷たいモノでなく明らかに心配してくれている気遣いの言葉。


「大丈夫。ありがとう、心配してくれて。」


 答えた後に振り向いた。


「よかったです。」


 そう答えてくれたのは行きつけのカウンターバーのアルバイトくんだった。


「(恥ずかしい。大人として・・・・・・。)
  仕事終わり?」


「はい。こっちが帰り道なんで。」


「そう。遅くまで大変ね。」


「いいえ。深夜バイトの方が時給いいんで仕方ないです。」


「そうだけどバーだもん大変でしょ。」


 普通の会話を心掛ける。


「あれ、覚えててくれたんですね。」


「えっ?」


 バーの話もしないのに初対面じゃないことをついうっかり口に出していた。


「俺も覚えてますよ。マスターと仲いいですよね。」


   
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