砂時計。- あなたでよかった -
「…樋爪…」

結婚式の二次会。
あたしはボソッと、彼の名前を口にした。

すると、友達の新垣真奈(にいがき まな)が、あたしを見つめた。

「…樋爪くん、来るなんてびっくりだよねー」

まるで、彼を知ってるような口振り。

真奈とは、小学生からずっと一緒だ。

「樋爪悠人…知りあい?」

あたしがそう聞くと、真奈は「はぁ!?」と言った。

「あんた覚えてないの!?」

…覚えてるもなにも…。
出会ったことなんてないし、そもそも初めて生で見た…のに。

「…初めて会ったし…」

あたしは、思わず真奈の勢いに負けて、小声になってしまう。

「中学の時、同じ学校ですごいモテてたでしょ!」

あたしは記憶を蘇らせる。

…樋爪、樋爪、樋爪…。

うーん、と唸っていると、一つの記憶が頭をよぎる。

「…あ。」

…それは、あたしにとって、一番思い出したくない記憶でもあった。
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