日帰りの恋
 再び二人きりのドライブに戻った。

 私はどきどきしている。
 何も言ってくれない彼の横顔を見るたび、段々とそれは激しくなり、気持ちが昂ってくる。

 神田さんは、地元で一番人気だというラーメン店に車を停めた。
 店内は込んでいたが、すぐに席が空いて私達は窓際のテーブルに落ち着いた。
 注文を済ませると、よそよそしい空気が流れていく。
 

 もう、我慢ならなかった。


「教えて下さい。どうして私なんですか!?」

 地鶏の天ぷらラーメンを挟んで向かい合う私から、神田さんは目を逸らしていた。
 だけど私の怒った声を聞き、ハッとしたように視線を合わせる。

 こんなことで怒るなんておかしい。
 だけど、今日はもう、この人に弄ばれてる気がして、悔しかったのだ。寂しさを忘れるほど楽しくても、この人への想いが消えたわけじゃない。

 自覚した恋心は、膨らみ続けてる。これまでよりも、もっともっと急激に。

< 37 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop