プルシアンブルー“俺が守る”
克治の同期で他称サバサバ系の左隈(サクマ)巡査部長と、

応用力が無い真面目系の岐微浜(キビハマ)巡査は、


疑いの眼差しを緩やかに向けるも、睨み返されてしまう。



「動き回られたく無いなら、鳴鎧くんの手綱をしっかり握っておかないと。世話女房なんだから。」


「俺は馬じゃねぇ!」



「馬の方が賢いわ。幽霊屋敷にホームレスだって?」



「中学からの腐れ縁なだけだ。オヤジ狩りの常習で生安が手配中だったらしいが、解剖の結果タリウム中毒死。ゴミ箱漁って手に入れたらしい残飯に殺鼠剤の成分が付着していたんだと。俺と同い年なのにホームレスとは世も末だよな。」


「俺の話を」


「左隈の言う通りだ。どれだけ有能な人材でも、どれだけ優秀なチームでも、それを使ってくれ評価してくれる人間がいなきゃな、他の奴らに成果を認めさせることなんて出来ないんだぞ。逸脱した個はな、透明で無意味なんだからな。」


「俺に言わないで下さいよ。」



どこから聞いていたのか。


刑事一筋うん十年酸いも甘いも知り尽くしたベテランの矛桶(ムトウ)巡査部長は、


チャラく噂好きな栃元(トチモト)巡査に説教染みたことを口にした。
< 2 / 66 >

この作品をシェア

pagetop