プルシアンブルー“俺が守る”
「譲琉、もう止めよう…。ねっ、もういいから…」


「姉ちゃん、駄目なんだってば!ほら早く!」



「や、止めっ…!……っ!」



「さ、つき…!」



ヒ素を喝宥に飲ませようとする譲琉と飲ませまいとする爽築。



揉み合う内、爽築は譲琉に突き飛ばされて主祭壇の右側へ倒れ込んでしまった。


ヒ素入りの小瓶も転がって中身が零れてしまい、使い物にならなくなってしまう。



「そうか……、あんたは姉ちゃんじゃないんだ…。姉ちゃんの皮を被った悪魔なんだ……。」


「譲琉……?……」



呟くように言った言葉が聞き取れず、譲琉に近付こうとしたその時。



「…っ……、や、め……ゆず…」


「さつき…!」



「姉ちゃんから出ていけ!出ていけ!!俺の姉ちゃんを返せ!」


「ゆ…………ず……、」



「や、めろっ!」



大分モルヒネが抜けて、体を大きく動かし伸ばした手は爽築に馬乗りになり首を絞める譲琉を掴んで後ろ…つまりは主祭壇の左側へと引き剥がし、更には爽築との間に割り込むことに成功した。



「げほげほげほ………」



喝宥は主祭壇に手をつきながらも、譲琉から爽築を守ろうと立ち塞がる。
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