プルシアンブルー“俺が守る”
「係長!ヒロ!」


「ハル…?」



教会の扉を開け放ち叫んだのは克治で、左隈と岐微浜も後ろに見えた。



「桧亨譲琉、殺人未遂で現行犯逮捕する!」



主祭壇側の出入口からは矛桶と栃元が突入し、譲琉を取り押さえにかかる。



「ハル、どうして……」


「課長が俺に賭けてくれたんだよ。」



教会へ向かいながら一応超坊に連絡を入れた時、世話女房としての勘を信じろ、などと柄にもなく頼もしい上司らしかった。



「今回ばかりは課長に感謝だな。」



喝宥を支えながら克治は言う。



「係長!」


「大丈夫ですか?」



左隈と岐微浜が駆け寄るも、爽築は大丈夫だと告げた。



「離せ!姉ちゃんから悪魔を追い出さなきゃならないんだ!」


「はあ?何を言っているんだ!」


「暴れるな!」



細身にしては力があり暴れる譲琉に矛桶と栃元は必死だ。



「離せ!姉ちゃんは俺が守るんだ!」


「殺そうとしておいて何が守るだ!」



喝宥を殺させようとしただけでなく姉を悪魔と呼び、挙げ句殺そうとして今更守るなどとは。


一貫性の無い言動に、喝宥は爽築の弟だということを忘れ怒鳴ってしまう。
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