プルシアンブルー“俺が守る”
「まるでミルグラム実験を見ているようだな。」



教会に残虐な数々の殺人、そして譲琉が口にした悪魔という単語。



神のお告げが聞こえた、神様から命を受けた。だからそれを遂行した。



という、信じがたいが刑事としてはよく聞く最低な方程式が、呟く克治の脳裏に過る。



「姉ちゃんは…、姉ちゃんは俺が守らなきゃならないんだ!俺が」



間違っていないと思わせて。



あの時、悪魔を退治したように。


今までしてきた事も、爽築の為でしかないって。



ただ大好きな姉を守る為だけだったって。



「俺が、俺が姉ちゃんを、姉ちゃんを守るんだ……!守ってあげるんだ……!」


「譲琉…!もういい、もういいよ。」



栃元が押さえ込んでも叫び続ける譲琉へ、爽築は落ちる涙に構わず近付く。


爽築の声が聞こえたのか、譲琉は抵抗を止めた。



「姉ちゃんをいじめる人、もういないから……もう誰もいないから……もう大丈夫だから……」



崩れ落ちるように、譲琉の前で両膝をつく。



「守ってくれて……ありがとうね、譲琉。」



満足そうに嬉しそうに笑う譲琉の頭を、爽築は泣きながら優しく撫でるのだった。
< 56 / 66 >

この作品をシェア

pagetop