ふたりで

「そうか。そうすると、余りのんびりしてはいられないな。」

考え込む俺の様子に、啓太は、
「できるだけ、一緒にいる時間をつくるんだな。」

「わかってる。だがな、真愛は、俺と小学2年で離れてから、ずっと俺の存在がなかっただろ、だから俺への気持ちが微妙なんだよ。あの頃の気持ちをベースにこれから、大きく、深くしていってほしいけど。」
と、ちょっと不安を口にした俺。

「強気な幸大にしては、珍しいな。」
と、ニヤニヤして、啓太がからかってくる。

「恋する男は、弱くなるのかもな。」
と切り返すと、

「違うだろ! 恋する男は、その情熱でもって強くなるものだ。」
と啓太に言われてしまった。

「じゃあ、啓太は、今、強い男なんだな?
津山と、仲よくやっているんだから。」
と啓太に話を振ってやると、
「微妙だな。」
と意味深な返事だった。

そして、
「そのうち、俺の相談にも乗ってくれよ。」
と言った。啓太には、啓太の悩みがありそうだ。

これから、少しずつ真愛との距離を縮めて、ふたりで寄り添って生きていければと、俺の核の部分が望んでいる。
各大学の合格者の氏名が、新聞発表され、同じT大に、橋本真愛の名前を見つけた時、俺は、真愛との運命を感じた。
それから、真愛に会えるのを、一日千秋の思いで、待っていた。それなのに、真愛は、俺を見ても、知らん顔だ。
俺は、決心した。絶対手に入れてやると!
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