ふたりで

「そうか、そうだね。あの先輩の思い通りになんかならない。あの人が喜ぶことなんかしてやらない。」
私は、力強く答えていた。

「真愛、今、浮気されたわけじゃないから。今のこーちゃんを信じてあげたら。」
この幸の言葉が、私の気持ちを浮上させた。

暗いトンネルに迷い込んだ私にも、漸く出口が見えてきた。

「気持ちの整理がついたら、こーちゃんに連絡して、あすにでも話しておいで。きっとヤキモキして待ってると思うよ。付いてきてほしければ、付き合うよ。」

「ありがとう。さすが幸だね。食べ物は自分で決められない癖に、人を説得するのは、天才的だね。やっぱり弁護士に向いてるね。」

「どういたしまして。食べ物とは、無関係だ、か、ら、ね。」

その後は、幸のラブラブぶりを聞いたり、将来の事をいろいろ想像したりしながら、お喋りを楽しんだ。

寝る前に、こーちゃんにメールした。

『明日、話せませんか。バイトがないから、こーちゃんの都合に合わせます。』

なぜか敬語になってしまった。まっ、いいか。
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