ふたりで

ふたりで仲直り


次の日、バイトがあってよかったなあと思う。バイトの間は、他の事は忘れていられるから。

夜、幸が泊まりに来てくれた。昨日あれから携帯で話を聞いてもらった。そして今夜心配してきてくれたのだ。

「やっぱり、顔を見て話さなきゃね。」


「ありがとう。もう、気持ちが何処かに行ってしまって、何も考えられなくなっちゃた。」
今の私の状態を話した。

「昨日のショックから、まだ立ち直れてないね。でも、その先輩、真愛に嫉妬したんだね。酷いやり方だったけど。」

「思い出すのは、先輩の誇らしい顔なんだよね。いかにも、こーちゃんを自分の物のように言ったあの顔。もう、二度と会いたくない。」
思わず頭を左右に振った。

「私さ、出会ったどんな人でも、嫌いな人ってあまりできないけど、人を平気で傷つけるあの人は、大嫌い。」
今の自分の顔は、きっと醜いだろう。言っている自分が、嫌になるくらい。

幸が、
「耳が、痛いかもしれないけど、真愛、聞いてね。多かれ少なかれ、男って、経験したいものだと思うよ。私の彼なんて大人だから、私で何人目なのって言う位、経験してると思うよ。
今回真愛は、残念な事に、たまたま相手に会ってしまったけどね。私だって、わかっていても相手には会わずに済ませたいよ。
こーちゃんを庇うわけじゃないけど、昔のことなんだよね。過去の事を今更考えてみても、何も始まらないし、これで真愛たちが別れる事になったら、先輩の思う壺だよ。」
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