ふたりで

トロントにて



とうとう出発の日がきた。

初めての海外旅行だから、ドキドキだ。こーちゃんは、高校の修学旅行で、オーストラリアに行って来てるから、二度目だそうだ。

英会話も、もっとやっておけばよかったと、後悔している。こーちゃんは、結構話せるらしい。まー君もこーちゃんも、小さい頃から習っていたそうだから。


飛行機が飛び立つ時の、音とスピードには、びっくりだった。

飛行機の中は、思ったよりも快適で、食事をしたり、目の前の小さなテレビで、映画を見て
少し英語に慣れようとしたり、時間を潰すのは楽だった。

トロントに着くと、前の日と言うのが不思議だ。
「こーちゃん、1日、得したね。また同じ日を過ごせるなんて。」

「真愛、よく考えて。日本に帰ると、次の日になってるから、得した分、また損するんだよ。」

「なんだ。喜んで、ばかみたい。」

と二人で大笑い。

まー君が、到着ロビーで待っていてくれた。

「まー君、赤ちゃんおめでとう。それで、名前は?」

「ありがとう。美しい都と書いて、美都(みと)だよ。トロントは、とても美しい都だから、ここで生まれたと言う意味を込めたんだ。」

そうか、親からの初めての贈り物である名前には、親の思いが込められているんだね。
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