ただ、貴方に逢いたい
クリスマス
クリスマス当日になった。
時間は9時30分を過ぎた頃。

「お母さん、出掛けるね?」

「あら、海音くんと?」

さすがはお母さんというところか。すぐに相手を当ててしまうのだから隠せない。

「そうだよ。駅前の噴水で待ち合わせしてるの」

「いつもは迎えに来てくれるのに……もしかしてデート?」

よくよく感が働くらしくニヤニヤと言ってきた。

「倫、海音とデートなの?やるじゃん!」

ソファーに寝そべっていたらしいお姉ちゃん(3つ上)が起き上がり私の前に来て

「服は可愛らしいワンピとコート。髪が物足りない…ちょっと待ってなね!」

お姉ちゃんは急いで2階の自分の部屋から何かを持って下りてきた。
< 8 / 29 >

この作品をシェア

pagetop