ただ、貴方に逢いたい
「すぐ済むし、そこ座って」

そう言うと軽く纏めていた髪をほどいて緩めに編み込んでいく。お姉ちゃんは昔から私の髪を弄るのが好きらしくて今でもたまにこうしてセットしてくれる。

「痛くない?」

「うん、大丈夫」

そんな私たちを微笑ましくお母さんは見ている。
肩を少し越えるぐらいの長さだからあっという間に両サイドに編み込まれ、ファーのついた髪ゴムで留める。

「ほいよっ!さらに可愛くなったよ♪」

「ありがとう、お姉ちゃん!」

姉妹で笑い合っていたらお母さんが何かを持って近づき

「眼を瞑って口閉じて」

言われた通りにすると口に何かを塗られた。

「はい、もういいわ。乾燥を防ぎつつも愛らしいピンクのリップよ。海音くんもイチコロねぇ♪」
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