豊中まわり

デート

家に帰って、着替えていると、氷上からメールがあった。

ー帰ってる?電話していい?ー

メールするのももどかしくて、発信を押した。

「あっ。深瀬です。」

「知ってるし。」

笑われてる。でもうれしい。

「今、部活終わったんだけど、今度の土曜日、午後空いたんだ。空いてたら会わない?」

「うん。大丈夫。」

これってデートのお誘いだよね。

そうだよね。えっ、どこいこう。

どこがいいかな。

ああああ。友達と出掛けるとことは違うよね。

映画?公園?図書館?

図書館はないか。

恋愛偏差値が低すぎてわからなーい!

頭でぐるぐる考えていると、

「どっか行きたいとこある?」

「えーーっと…。」

やっぱり出てこない。

だってここらへん何にもないし!

やっぱり梅田まで出るべき?

でも梅田ってママと買い物以外で行ったことないし。
なんか高そうだし…

またもぐるぐる考えていると、

「エキスポシティで映画見ない?」

「うん!」

氷上すごい。ちょうどいい。

エキスポシティは最寄り駅から2駅で行ける商業施設。

映画、ショッピング、水族館っぽいのもあって1日楽しめる。

そこなら家族とも、友達とも何度も行ってるからちょっと安心だ。

「じゃあ、3時に少路駅待ち合わせでいい?」

「うん。」

さっきから私、うん。しか言ってない。

これじゃダメだ。

「じゃあ、また連絡する。」

あ、電話終わっちゃう。

「あの…ありがとう。楽しみにしてる。
バイバイ。」

ようやく言えたのがやっとこれか…。

対人関係、サボってきたからなぁ。

氷上とは逃げずに向き合いたい。

思っていることも伝えたい。

とりあえず、デートに着ていく服を選ぼう。

どんな服が好きかなぁ。

あぁぁぁぁぁ。新しい服ほしいなぁ。
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