俺様がキライな女だっているんです!
「で?そいつ誰?」

「蓮のいるところにオレは絶対いるから。覚えといて。」

さっそく加賀見虹と桐が睨みあっています。

どうしよう?

とりあえず、早く楽譜返してくんないかなぁ。

『ねぇ、楽譜。』

めんどくさくて長く話す気にもならない。

お昼に少し歌っておきたいのに。

「ねー、オレの為に歌ってよ。アマチュアだけど、ライブの入りとかすごいんだろ?お前の名前、友達に言ったら知らないやついないって言われたんだけど。可愛いのにオレ全く知らなかったから。近づいてくる女しかわかんねーもんな。」

「はっ?何言ってんの?」

隣りから呆れた桐の声がする。

『イヤに決まってるよね?大学の王子様かなんか知らないけど、チャラチャラ女とっかえひっかえしてるような男、話すのも虫酸が走る。』

あのあと、柚乃に聞いた話だと泣かした女の子は数知れず。

来るもの拒ます去るもの追わずだって、言ってた。

人の噂もアテにならないから、半分聞いてなかったけど、話してみたらその話も案外ウソじゃなさそうだなと。

自分に自信持ちすぎだし、自分の為なら歌えるだろ的な物言いも気にくわない。

同じ王子様でも、桐の方がよっぽどカッコいい!

大学内に王子が二人いて、ひとりは桐でもう一人が加賀見虹らしい。

桐は見た目は王子だけど、中身は王子ってガラじゃないけどね。

まぁ、それは追々…。
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