晴れ渡る空の下で、君のために風となる。
それじゃあ、今回はこのへんで。

この手紙が登坂さんの元にとどくことをねがって】




久しぶりのリョータからの手紙は、今までと全然違った。

以前以上に弱々しく、乱れた字。どれだけ、リョータが無理して手紙を書いてくれたのかが伝わってくる。


「ほんと、バカ……」


でも、そこに宿る言葉の温かさだったり優しさは何にも変わらなくて、ちょっぴり変な話だけど、あぁ彼は本当にリョータなんだなぁって思う。

切なくて、嬉しくて。頬が緩むのを抑えられないでいる私を、乾いた風が追い抜いていく。


夏は、もうすぐそこまで近付いていた。




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