ホテル王と偽りマリアージュ
オフィス街のど真ん中にあるホテルから徒歩で帰れる一等地。
明らかに住宅街とは言えない好立地の高層マンションが、昨日からの私の住処だ。
もちろん一年限定だけど。


最上階のワンフロア全体を占める、うちのホテルのラグジュアリースイートルームのような一室。
仕事を終えた後初めて戻って来て、リビングに入る前に私は肩を落として大きな息を吐いた。


つい一昨日まで暮らしていた一人暮らしのマンションの部屋。
あの何倍の面積があるんだろう。


目の前に広がるリビングは軽く十五畳は超えるはず。
バルコニー側は全面ガラス張りで、都会の夜景が堪能出来る。


リビングの奥にはダイニングキッチン。
その逆側には三つ部屋があり、一つは寝室で、セミダブルのベッドが二台並んで置かれている。
一つは彼の書斎兼仕事部屋。
そしてもう一つは今のところ使用用途はない。
出来ればその部屋に私の分のベッドを置いて欲しいものだと思う。


リビングの電気を点けると、一気に部屋が明るくなった。
暗くても窓から見える都会のイルミネーションのおかげでそれほど視界は悪くないけど、煌々と灯った電気の下、広いリビングにはまだラッピングを解いていないお祝いの品が散乱している。
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