この世界の中で生きていく為に私がすること。

黙り込んだ私にマリは勝ち誇ったように美琴達にニヤリと微笑みを漏らした。
すると今度は希が話しかけてくる。

「ふとした時に、その素敵スーツの人の事を思い出したりしない?」

あ、
さっき大学に来た時に思いだしたけど…それが関係あるの?

「さっき、ちょっとだけ思い出したかも。」

「のん!それが恋の始まりだよ。その相手のことが気になりだしたら、もっとこの人のこと知ってみたいって思うようになるんだよ。」


恋…ね。
私には程遠いもので、自分が恋をしているという実感などない。
だからこれは恋ではない。だって気にならない。知りたいだなんて思わない。

「希、残念だけど…気にならないし、知ってみたいだなんて思わないよ。さっき思い出したのはスーツをきちんと着てたなぁって思っただけだから。」

私がはっきり言うと希はシュンと悲しげな顔をしてしまった。
そんなに私に恋をして欲しいのか?


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