女の子として見てください!
「ん……」

カーテンの隙間から差し込むわずかな光に目を細め、私はあくびをしながら上半身を起こす。


「痛っ」

ズキ、と下腹部が痛んだ。

そっか……私、昨日、したんだ……。


寒いから翔さんのトレーナーとスウェットを借りて寝たんだった。
だから今自分は裸じゃないけど。
それでも、夕べのことをじわじわと思い出して、また顔が熱くなる。


「おはよ」

後ろから声をかけられて、私の身体がピク、と反応する。

ドキドキしながら振り返ると、翔さんもベッドの中で上半身を起こしたところだった。


「お、おはようございます……」

「……身体、痛くない?」

「はっ、はい! 大丈夫ですぅ!!」

うぅ。恥ずかしいからそういうこと言わないでー! やさしさだっていうことはもちろん重々承知ですけどねー!


すると翔さんは、私の右手をギュッと握った。

ん? どうしたんだろう? と思い、翔さんを見つめると。


「もうちょっと寝よ」

そう言われ、手を引かれ、再び布団の中へと引きずり込まれる。


翔さんは、布団の中で私に顔を近づける。
昨日あれだけドキドキしたのに。私の心臓は簡単に再びフル稼働をし始めそうになる。

そんな私に、翔さんが話を切り出す。

「……俺、夕べすごい熟睡できた」

「熟睡、ですか?」

私の聞き返しに、翔さんは「ああ」と頷いてから。

「今まで、夜眠ろうとすると、五年前のあの事件での自分の情けなさや不甲斐なさを思い出してよく眠れない日が多くあった。もちろん、仕事で疲れててぐっすり眠る日とかはあったけど。幸せな気持ちでこんなにぐっすり眠れたのは、それこそ五年ぶりだった。
……美桜が、ありのままの俺を受け入れてくれるから、俺は安心できるんだ」

やわらかい表情で、翔さんがそう言ってくれる。

ありのままの、翔さん。

私は、翔さんがありのままの自分を見てくれていることがすごくうれしかった。
翔さんも、そう思ってくれていたんだね。


「翔さん、大好きです」

「それ、夕べ何回も聞いた」

「っ、ウソだ! そんなに言いました?」

「結構」

「ひえぇ」

翔さんはまた声を出して笑った。


翔さんと一緒にいると心臓がドキドキバクバクして身がもたなくなりそうになる。
好きだからこそ、不安になることもある。

だけど、それ以上に。


たくさんの幸せをもらえるんだ。
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