独身一般職(37) vs 新人リア充(20)

「ごめん、祐介。ほんとごめん」

「まじでお前のこと殴ってやりたいよ。
なんだよ、好きな奴って」


「…ううん、本当は仕事を始める前から祐介への気持ちは薄くなっていたの。

だからつまり、キープしていたの。ずっと」


祐介の顔が青くなっていく。


「最低だわ、お前。俺の気持ちなんなのよ。
もう顔も見たくない。早く帰れ」


祐介の声が震えていた。


あたしは何も言わずに部屋を出た。
あれだけ祐介と別れたかったのに、帰りの車の中では涙が出てしまった。


祐介はあたしをちゃんと好きでいてくれたんだ。

最後の祐介の一言が心に刺さった。
あたしは祐介との今までを振り返り、自分のしていたことにようやく気がついたんだ。


あたしが祐介と別れるのは、下風代理とのことを頑張ろうと決めていたからだった。

だけど祐介の気持ちを思うと、今のあたしにはそれが許されない気がする。


つまり下風代理を好きになる資格がない。
だからこっちも一旦あきらめないとだめだ。


それが祐介に対する償いになるかはわからないが、どんなに考えたところで、あたしにはそれしか思いつかなかった。