独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「いや、そうじゃないんです…

本当はもう、俺が苦しいだけなんです。

結構頑張ってたつもりなのに、全然相手にされないからさ。

言葉にして伝えないと、こんな俺なんて意識してもらえないじゃないですか…」


目の前で本当につらそうな表情を見せる彼に、返す言葉が見つからない。

私の気持ち云々よりも、やはり頭にあるのは仕事の事だった。


「わかってますよ。
付き合って下さいなんて言いませんから。

僕の勝手で迷惑かけてることもわかっているけど、ただ気持ちを知っててもらいたいんです。

姐さんの心の隅っこに、僕のことを置いてくれたらそれでいいんです」


そういって彼は左手で私の右手を取り、一瞬だけその繋いだ部分にぐっと力を込めて、すぐに離した。

不安を表すように震えている彼の手に包まれると、そこから私の胸の中にも切なさが伝わってくる。

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