独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「…どうしたの、香坂ちゃん」

「…えっ?」

あれだけ泣いたのに涙はちっとも枯れてなんていなかったのだ。

次から次へと、とめどなく涙は溢れていく。


「…大丈夫?
やっぱり調子悪いんじゃないの?」


下風代理があたしのおでこに手を当てる。
恥ずかしくなって、あたしは両手で顔を覆う。


「ごめんね、うち体温計なくてさ。
でもやっぱりちょっと熱いみたいだよ」


顔を覆っていた両手の隙間から、あたしの想いはこぼれてしまった。


「あたし…下風代理が好き…」


次の瞬間、あたしは溢れる涙と一緒に、彼の胸の中にいた。

< 187 / 250 >

この作品をシェア

pagetop