独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
下風代理は笠原さんの事は一言も話さなかった。

仕事の話をしていても、笠原の『か』の字も出てこなかった。


話していくうちに、昨日のことがだんだんと嘘のことのように思える。

そのくらい、下風代理は本当に何も変わっていなかったのだ。


それでもちょうどあたしの座る位置からは、寝室のベッドが見える。

見ないようにしようと思う気持ちとは裏腹に、目線は吸い込まれるようにベッドの方に向いてしまう。


…今日はお酒の回るペースが早い気がする。


そっか、あたし今日は何も食べていなかったんだ。

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