独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
ちょうど窓口は混んでいるタイミングで、落ち着くまでは面談に行くことはできないだろう。

出納のミューも今は手が離せない様子だ。


…仕方ない。

手が空いているわけではないが、今は特に急ぎの仕事はなかったので、私が面談に行くことにした。

たった15分くらいなら、さっさと済ませてしまった方が楽だし。


小さな店なので会議室とはいえ、普段は職員が弁当を食べるスペースとして利用している。

常に開けっ放しになっている入口の扉も、今は閉まっていて違和感を覚える。


軽くノックして入室した。

巡回に来ていたのはお馴染みの人事部長と、人事課長の斎藤さんだった。


この斎藤課長は私が入庫する一年前に入庫した先輩であり、一緒に働いたことはないが、何度か飲みに行ったことがあった。

今では年に一度、この人事面談のときしか顔を合わせることはないが、年々薄くなっていく頭髪を見ると、今までの彼の苦労を思わせる。

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