独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
彼は私の背中に、その骨ばった腕を回し、ぐっと力を入れた。

胸の鼓動に包まれながら、それに流されてしまわないように、ただ心を無にすることに意識を集中させる。


そうだ、子供を相手にしてると思えばいいんだ。

よしよしとなぐさめるように、その大きな背中をぽんぽんと叩く。


少ししてから身体を離した彼は、ぺこっと私にお辞儀した。


「すいません、ありがとうございます」

私は「もう満足したの?」なんて変なことを聞いたけど、彼は照れながら「はい」と返事をしてくれた。


家まで送ると言われたが、私はそれを断った。
私のアパートまでも近かったが、下風代理が心配していたのでタクシーを呼んだ。

< 31 / 250 >

この作品をシェア

pagetop