独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「香坂ちゃん先週の土日、男の人来てた?彼氏?」

そっと耳打ちするように、下風代理はあたしに聞いた。
香坂ちゃんなんてオヤジみたい。


それでも耳に息がかかると、少しドキッとしてしまう。
先週この人の身体で妄想したことを思い出して、恥ずかしくなった。


「ごめんなさい、うるさかったですか?」

「いや。声は聞こえてないけど、窓から二人が車に乗るところを見たからさ」


それから少し彼氏について、当たり障りのない程度に質問をされた。

下風代理は酔っているせいか、喋るときの距離が近くなるときがある。


普通だとそれが不快になるんだけど、やっぱり顔がいいと逆にドキドキする。


「下風くん、香坂さん口説いちゃだめだよー」


遠くの席から植本さんが酔っ払いながら下風代理に向かって叫ぶ。

なんだか邪魔された気分だった。

< 44 / 250 >

この作品をシェア

pagetop