独身一般職(37) vs 新人リア充(20)

「…それならさぁ、また抱きしめてもいい？」

「はあ？」

彼はソファに座ったまま、油断していた私の腕を引き、そのまま両腕で私の肩を包み込む。


「いいじゃん、これ落ち着くんだもん」


肩を抱いていた彼の腕は、ゆっくり腰まで下りてきて、私の肩に顎を乗せたまま優しくもたれていた。

こないだみたいな力強さはなく、私までなんだか力が抜けてしまって、しばらくそのままでいた。


時計の秒針が刻む音を数えていた。


右側の耳元で前髪が揺れる。
それに触れてみたくなって、恐る恐る左腕を伸ばした。


私の左手が彼の髪に触れた瞬間に、彼が気持ちよさそうに目をつぶった。