独身一般職(37) vs 新人リア充(20)
「ま、そんなことだから大野くん、私名義で出産祝いでも送っといて」

「何でですか。自分で送ってくださいよ」


村上と過ごした10年の年月も、今の私の一部になっていると言えるだろう。

ふと、どうしているかなと思うこともあるが、あくまでも彼とのことは過去の思い出にすぎない。


「さて、明日も仕事だし、今日はお開きにするぞ」

珍しく大人しかった下風代理が、急に帰り支度を始める。


「シモさん、急に眠くなるんだから。ほら靴下履いて」


すると下風代理が、大野くんめがけて靴下を投げつける。

「くっせー!」

「ばか、お前。
これは俺が一日中頑張った汗の結晶だ」


あーあ、ほんとガキ。


本当にこのままお開きになって、社宅組は揃って帰っていった。


今日は、下風代理と一緒にいたのにあまり話すことがなかったな。

ほんのりと心残りがあった。

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