独身一般職(37) vs 新人リア充(20)

ARISA attack

仕事が終わって、夜の8時頃。

駐車場から車のエンジン音が聞こえてきたと思えば、徐々にそれが遠ざかっていく。


下風代理が晩ごはんの買い物に行ったんだ。

もう彼の車だけはエンジンの音で、すぐにわかるようになってしまった。

15分ほど経ち、またエンジンの音が聞こえてくると、帰ってきたんだって安心する。


あたしは最近、テレビを見ることが減った。

耳をすませば、下の階に住む下風代理の生活音が、微かに聞こえてくるのだ。


例えば鼻歌なんか歌ってたりすると、それがなんの歌までかはわからないが、なんとなく聞こえてくる。


ストーカー気質があるのかもしれないけど、彼の存在を感じられることが幸せ。


社宅なんて最初はちょっと嫌だったけど、最近は家で過ごす時間も楽しくなってきたところ。

< 90 / 250 >

この作品をシェア

pagetop