人事部の女神さまの憂いは続く

「結婚したものの藤木さんにとっては、これまでと変わらない藤木さんの世界とか日常があるわけで。
 その中で私の存在とか、結婚したことの意味ってどれくらいあるんだろう」

ぼんやりとそんなことを話していたら、ギュッと香織さんに抱きしめられた。いつもの香織さんの匂いがして、それだけで泣きそうになる。

だけど、やっぱり香織さんは香織さんで。ただ優しいだけじゃない。

「そう言うゆりは、どうなのよ?」

その言葉にぐっと詰まってしまう。

私は、と言葉にしようとしても、その先が続けられない。そんな様子を見守ってくれていた立花さんが助け舟を出してくれた。

「ニシユリもさ、ゆっくり考えてみたら?どうせ明日土曜だし、しばらく家にいるといいよ」

「そうね。焦ることないか。今日は最低ゲス野郎のことなんて忘れて、飲もう。で、明日私と一緒に買い物でも行こうよ。服買いたいんだ。付き合って」

香織さんも暗い空気を吹き飛ばすように、明るく言ってくれる。

いつもこの二人には助けてもらってばっかりだなと思いながら、これ以上心配ばっかりかけるわけにはいかないと思う。

「ありがとうございます!飲みたいです!そして、散財したいです!」

立ち上がってそう言うと、二人は笑ってくれた。


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