人事部の女神さまの憂いは続く
「久々の再会に乾杯」
そう言ってグラスを掲げる隣の女は、会社員時代の同期だ。俺と同じ年で、子どもまでいるようには見えないくらい小綺麗にしてるけど確かにあの頃よりかは、いい意味で年を重ねたんだろうなっていうのが雰囲気からにじみ出てる。
新人時代から優秀で、いつも営業成績を競ってた。
頭の回転が速いこいつと話してるのはいい刺激になったし、同期の中でもよく飲みに行くうちの1人だった。
そして、いつの間にか飲みに行った後、身体を重ねる仲になっていた。なにが最初にそうなるきっかけだったかは思い出せないけど、唯一関係が続いた女だった。
当時は仕事が面白すぎて彼女なんていらないって思ってたし、そういう意味ではこいつも同じ考えだったし、わざわざ約束を取り付けなくても顔を合わせる、というのがおっきかったと思う。
ただ飲んで、したくなったら、する。
そんな単純な関係。
それ以上なんて求めてなくって、ほどよくその場の欲が満たされればOKっていうのは気楽だった。
だから、もちろん他の女の子に誘われれば抱いてたし、こいつも他に男がいるみたいだったし。