人事部の女神さまの憂いは続く

12月に入って国内の仕事を片付けるためにって柏木さんが帰国してから、遅い時間になっても事務所に残る人が多くって、俺もその1人だった。

柏木さんはフロア内を気分転換で歩き回りながら、その時々目に入ったところでアドバイスをくれるから。

先輩から頼まれた模型作りをしながらも、柏木さんチェック入らないかな、なんて考えてた時だった。

「これ、日本橋の案件?」

念願の柏木さんから声がかかったのだ。はいっと答えて無駄に立ち上がると、ふふっと笑って肩に手を置かれた。

「がんばってるみたいだね。卒業はちゃんとできそう?」

「はい、もう卒業制作もだいたい終わっているんで。4月が待ち遠しいです」

ガッツポーズをつくりながらこたえると

「それはよかった。ちょっと、休憩しない?」

フロアの奥の休憩スペースを指さされた。こんなこと初めてで、とうとう俺も何か仕事任されるのか?なんて浮かれてたら、柏木さんから出た言葉は予想外すぎるほど、予想外で。
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