人事部の女神さまの憂いは続く

尊敬する柏木さんが、あの侑里とだもんなって、それでもやっぱり信じられないでいると

「ちょっと、お願い事してもいいかな?」

男の俺でもドキっとしてしまうような流し目で見られた。

動揺を顔に出さないように必死でとりつくろいながら、頷くと

「これ、式当日、侑里ちゃんの左の靴にこっそり入れといてくれない?」

1枚の銀貨を渡された。

手の中の銀貨をじっくりみると

“SIX PENCE”

と書いてある。なんだろう?と首をかしげていると

「もちろん侑里ちゃんには、何も言わなくていいから。きっと、あの子そういうの疎そうだし」

楽しそうに言う柏木さんを見ていると、もしかして柏木さんってまだ侑里のこと好きなんじゃないかって思えてくる。

なんで2人がうまくいかなかったのかはわからないけど、侑里のことを話す柏木さんからは愛おしんでいることが伝わってくる。

なんでっていう気持ちもあるけど、とにかく尊敬する柏木さんからのお願いだ。

「わかりました。任せといてください」

グッと手の中に銀貨を握って、そう柏木さんに約束した。
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