人事部の女神さまの憂いは続く

それに気づいたのかずっと頭にのっていた、りゅう先生の手がぱっと離された。

「知り合い?」

そう声を掛けられて

「うん。10年以上ぶりでびっくりしました」

と返すと、ふーんというような意味ありげな視線を向けられる。ちょっと気まずくなっていると

「彼氏?」

先に先生に質問された。居心地が悪いものの、横からのプレッシャーも感じながら

「実は結婚しようってことになって・・・。それで帰って来たんです」

そう答えると、りゅう先生は緩やかな笑みで

「そっか。おめでとう。ゆりちゃんも、そういう年なんだもんな」

お祝いの言葉をくれた。気恥ずかしくって

「りゅう先生・・・。ありがとうございます」

そう言って、はにかむしかできないでいると

「あ、もういかないと。会えてうれしかった。ゆりちゃん、お幸せにね」

もう1度遠慮がちに頭に手をポンと置いて、りゅう先生は去っていった。



そう。それ以来、ずっと暴君はご機嫌ななめだ。そして、ようやく発した言葉がさっきのもの。
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