人事部の女神さまの憂いは続く
あ、この手だ。寒い日には繋いでポケットに入れてくれていたこの手。
私が大好きだった大きな手。
ちょっとゴツっと関節が出ているこの手が好きだった。
きっと私が手フェチっぽくなったのは、りゅう先生のせいだと思い返していると
「今は、そのまま東京?」
りゅう先生の声に引き戻された。
「はい。向こうで就職して。先生は?」
「俺もあの後、結局、首都圏の校舎に異動になって、それ以来ずっと向こうなんだ。今日は久々にこっちに特別講義で呼んでもらって」
そういう先生はちょっと大きめの鞄をもっているだけ。
「そっかぁ。相変わらず人気なんですね」
りゅう先生が“人気講師”って呼ばれていたあの頃を思い出す。
「今日1泊してすぐトンボ帰りなんだけど・・・」
りゅう先生のそんな声にかぶせて
「ニシユリ?」
よく知っている声が後ろから飛んできた。