人事部の女神さまの憂いは続く
「ちょ、痛いです」
抗議をしても、ふんっと言って運転中にも関わらずそっぽを向いている。
「ちょっと、前見て運転してくださいよ!」
取りあえず注意をすると、うるさい、とキレられる。なんだか理不尽に怒られている気がしてきて
「自分こそ、昔付き合ってた人なんていったら山ほどいるでしょうに・・・」
小声でつぶやくと
「何だと?」
火に油を注いでしまったようだ。もう大人しくしてるしかないと思って、ため息を1つついて窓の外に視線を向けた。それでも暴君の怒りは収まらないようで
「で?高校生のお前は、教師に色々教えてもらったってとこか?」
尚もバカにしたように質問を重ねて来る。その言い方があまりにひどくて、りゅう先生との思い出までバカにされてるようで悔しくて
「そんな言い方、ひどいです」
出てきそうになった涙をこらえて言葉を絞り出し、もうこれ以上は話したくない、という意思を込めて靴を脱いで体育座りをした膝に顔を埋めた。
それでようやく藤木さんも冷静さを取り戻してくれたのか
「悪い、言い過ぎた」
謝ってくれたものの、素直に反応することができなかった。