泥棒じゃありません!



最後に回してしまったのが、そもそもの間違いだった。

フォトフレームの中に入れていた、秀樹とのツーショット写真。彼は写真嫌いで、一緒に写っているのはそれ一枚きり。
本当は派手に燃やしてしまいたかったけれど、火災警報器が作動しても困るし、かといって気持ち的に普通には捨てたくない。
そこで私は、細かく切り刻んでトイレに流すことにしていた。

でもとりあえず荷造りが先だとその写真をトイレの棚に置き、バタバタしているうちに、そのまま置いて引っ越してしまった。

それに気づいたのは、賃貸契約終了から半月後。
不動産屋に訊くことも一瞬考えたけれど、写真が“アレ”なだけに、思い直した。


「それ、まじでヤバいんじゃないの!?」

写真のことを話すと、彼女は飲んでいたビールを吐き出さんばかりの勢いでそう言った。

「ヤバいかな……やっぱり」

引っ越しの手伝いをしてくれたお礼にと、私は中学時代からの親友、目黒亜美(めぐろあみ)――メグにご飯を奢る約束をしていた。年度末ということもあってお互いなかなか予定が合わず、引っ越ししてから一カ月が過ぎてようやく今夜、約束を果たすことができた。

このこともすぐに相談するはずだったけれど、内容が内容だけに直接会って話したくて、ここまで延びてしまった。


「今どういう世の中かわかるでしょ?」

「……うん」

「しかもよりにもよって、裸の写真って!」

「ちょっと! 声が大きいってばっ」

慌てて立ち上がり、向かいの彼女の口を塞ごうとする。が、メグは仰け反ってそれをかわした。彼女のボブスタイルの髪が乱れ、メグは手櫛でそれを直している。


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