泥棒じゃありません!
「大丈夫。一応個室だし、ここ」
「それはそうだけど……」
メグは中ジョッキのビールを飲み干すと、真剣な眼差しでこちらを見た。
「そもそも、なんでそんな写真撮ったのよ」
自分でも、どうしてあんな写真を撮ってしまったのだろうと思う。
若気の至りというか、付き合い始めの勢いというか。写真を撮った頃は、冷静な判断ができない状態だったのかもしれない。
「でも裸って言っても、お互いタオルで大事なところは隠してるし……」
「そういう問題じゃないから」
メグの冷静なツッコミに、なにも言えなくなる。
メグは学生時代からダメなことはダメと遠慮なく言ってくれる性格で、それゆえに敵も多かったようだけれど、私はすごく付き合いやすかった。
二十六歳になった今でもこうして変わらず付き合いが続いているのは、お互いに本音で話せているからかもしれない。
「もしもさ、もしもだよ? ハウスクリーニングの人が悪い人で、その写真を見つけて悪いことに使ったらどうすんのよ」
「悪いこと、って……?」
「そうね、たとえば『連絡待ってます』ってコメントつけて、出会い系アプリに美緒里の写真だけカットして載せるとか」
一気に血の気が引いていく。
メグはそんな私の様子などおかまいなしに、畳みかけるように続けた。
「仮にハウスクリーニングの人は良い人だったとしても、写真を届けられた不動産屋の社員が軽いノリで知り合いに画像回して、その知り合いがまた知り合いに、って回されているうちに、たくさんの人の目に触れることになったら?」
「そんなこと……」
「あるのよ、今の世の中。たとえばSNSなんかに上げられちゃったら、おもしろがられてあっという間に不特定多数に拡散されるんだから。そして一度上げられたら、ネット上からなかなか完全消去できないの」