範囲指定ゲーム
「なにしてるの!!」


友香の叫び声が空へと響き渡る。


あぁ、友香。


次のクラス委員は友香にやってもらおうと思ってたんだよ。


あたしの代わりは友香しかいない。


戸川先生も友香と一緒ならきっとやりやすいと思う。


少し悔しいけれど、戸川先生に気持ちを伝える事もできたらいいね。


その時にはさ、あたしの気持ちも一緒に伝えてよ。


あたしだって戸川先生の事が好きだったんだからね……。


そう思うのに、自分の笑い声が聞こえて来るだけで一文字も言葉となって出ていく事はなかった。


気が付けば、桜はフェンスの上に立っていた。


少しの風で落ちてしまうような、危うい状況。


それでもやっぱり恐怖なんてなくて、あるのは高揚感だけで、頭の中は再び真っ白に包まれていく。


桜は自分の右足が空中へ踏み出したのを見た。
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