範囲指定ゲーム
☆☆☆

このままではみんな野生動物の餌食になってしまう。


そう考えたのは友香1人ではなかったようだ。


木で作ったSOSの文字を作り直して食堂へ向かっても、誰1人として食事をする者はいなかった。


友香は知美の体を食べているカラスを何度も思い出してしまい、その度に強く頭を振って、映像をかき消した。


「今夜、動物が襲ってくるなんてこと、ないよね?」


そう言ったのはKチームの千夏だった。


千夏は青ざめた顔で小さく震えている。


千夏はただでさえ動物が苦手なのだと、聞いたことがあった。


「……わからない」


そう返事をしたのは同じチームの悠斗だった。


悠斗と千夏は付き合っている。


「死体が校内にあるってことは、それをめがけて来るんじゃないの?」


千夏の声が少しだけ大きくなった。


その可能性はゼロじゃない。


血の匂いは間違いなく校舎からしているわけだし、動物はなんとかして校内に入ってこようとするかもしれない。
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