範囲指定ゲーム
自分は幼い頃からずっと虫を殺したりして生きて来た。


怖いものや死体に興味があった。


だけどみんなは違った。


なぜだかわからないけれど、自分にとってはどうでもいい事ばかりに熱中していた。


それに合わせて生活をしてきたのは、みんなの意見が大多数を占めていたからだった。


沢山ある意見の方に合わせておけば、自分ははみ出し者にはならない。


そのくらいのこと、小学校の学校生活で誰でも習得する生き方だった。


千夏が美樹を無視して歩き出そうとした、その時だった。


校舎から悠斗が出て来るのが見えた。


ドキンッと心臓が大きく跳ねて、千夏はその場に立ち止まった。


悠斗は大股でこちらへ向かって歩いてくる。


その目は吊り上がり、明らかに怒っていることがわかった。


千夏は思わず後ずさりをしていた。


バレたんだ……。


咄嗟にそう理解した。


だけど、この場所に逃げ道なんてどこにもない。


どんどん近づいてくる悠斗を前にして、千夏は動けなくなってしまっていた。
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