範囲指定ゲーム
みんな俯いてパンをかじる。


時々袋を破る音くらいしか聞こえて来ない。


友香が菓子パンをひと口かじった時、美夏が異変に気が付いた。


「そういえば、悠斗と千夏はどうしたんだろう?」


そう言われて顔を上げてみると、2人の姿がない事に気が付いた。


それぞれ今日の計画の事で頭が一杯で、2人がいない事に気が付けなかったのだ。


「あの2人は付き合ってるから、2人でどこかにいるんじゃないの?」


メイが何食わぬ顔でそう言った。


そうかもしれない。


次のゲームで死ぬかもしれないと思って、最後の時間を過ごしているのかも。


「時間になったら体育館に来るだろうし、ほっといても大丈夫だろ」


冷がそう言ったその時だった。


「来ないよ?」


美樹がそう言ったのだ。


「なにそれ、どういう意味?」


真子が聞き返す。


美樹は2つ目の菓子パンに手を伸ばし、その袋を破った。
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