範囲指定ゲーム
美樹は好奇心で目を輝かせてそう言った。


その目に恐怖は微塵にも写っていなかった。


「知らない、そんなの」


友香が知っている首つりは、先生たちのように悲惨なものだけだった。


糞尿に塗れ、内臓の一部が口から飛び出す。


そんな悲惨な死に方しか知らない。


「あたし、もうすぐ死ぬんだね」


美樹がそう言い口角を上げて笑った。


それは今まで見たことがないくらい、楽しげな笑顔だった。


あぁ、本当にこれが美樹の素顔なんだ。


そう理解して、友香はため息を吐き出した。


死ぬことへの好奇心が強くて、恐怖なんてどこにもない。


これが本当の美樹。


今まで当たり前の生活を送るために、ずっと演技をしてきたんだろう。
< 180 / 249 >

この作品をシェア

pagetop