範囲指定ゲーム
俺はなにをしているんだろう?


好きな女にこんな顔をさせるなんて、最低な男だ。


自分で自分の事をののしってみても、現実を友香に伝えなければならなかった。


「明日のゲームでドローが認められたとしても、明後日も明々後日も認められるとは思えない」


そう言うと、友香は目に涙をためて俯いた。


きっと、友香も薄々気が付いていたことなんじゃないかと思う。


あの男が連発するドローを止めないワケがないと。


心太朗は思わず友香の体を抱きしめていた。


想像以上に華奢な体が、腕の中で小さく跳ねる。


しかし、すぐに力を抜いて心太朗に体をゆだねる友香。


「明日の投票で俺はみゆのいるDチームに投票する」


友香の耳元で、囁くようにそう言った。


囁くように聞こえて来たその声に友香はビクリと身を震わせ、心太朗からそっと身を離した。


心太朗の表情はすごく真剣で、嘘じゃない決意を感じさせた。


「そんな事をしたら……心太朗は死んじゃうんだよ……?」


票が割れれば、死は免れることはできなくなる。


「わかってる。だけど、友香のチームは必ず生き残る」


BチームとDチームが投票しあう結果になれば、当然友香のAチームは助かるだろう。


でも……。


友香は心太朗の服の胸元をギュッと握りしめた。
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