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そしてそこで見たのは……妹と叔父さんの、綺麗な死に顔だった。


少し口角を上げてほほ笑み、手を繋いて眠るように死んでいる2人に心太朗は心を掴まれた。


死んでいるのに、なんて美しいんだろう。


死んでいるのに、なんて幸せそうなんだろう。


それまで心太朗にとって死ぬことは怖い事であり、恐ろしい事であり、悲しい事だった。


だけど、2人の幸せな死に顔を見た瞬間、その考えは覆ったのだ。


死んだのに、生きている。


そう感じた。


2人は確かにこの世から消えた。


だけど2人で手を取り合って死んだからこそ、2人はまだ生きているのだ。


魂だけになったあとも、生前と変わらず寄り添っているのだ。


うつくしいと感じた。


本当に好きだからこそ、一緒に死ぬのだ。


それが最高の愛情表現なのだと、心太朗は心の底から思ったのだった……。
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